8/21
 ぶらりと行く日帰りのツーリングは別として、泊まりのツーリングは去年の4月からご無沙汰している。毎年行ってる6月の蛍には、今年はバイクで行こうと思っていたが、台風の上陸やら梅雨やらで雨風が残りそうだったので泣く泣く断念して車で行ったところ、きっちり晴れてやがった。しかも、帰りの日には雲ひとつない快晴になり、この後悔とも無念ともガッカリとも言いがたい気持ちをどこに持って行ってやろうかと思ったが、そんな事もあって、キャンプは強引にバイクで行くことにした。
 キャンプも蛍の時と同じように、前日から微妙な雲行きではあったが、まあ今回は下道で雨宿りしながらでも帰れる距離ではあるし、なんとかなるやろうと腹を括って出発した。
 今回のキャンプは、10年やっている中でも最少構成の5人で、しかもその内のひとりは仕事が終わってから参加するという。つまり朝出発は4人という、車1台で収まってしまう人数である。じゃあ車で行けよという声もチラホラあったような気がするが、少人数だからこそ多少の融通は利くはずで、というか無理にでも利かせられるはずなので、そんな声は黙殺してバイクにまたがった。後で合流する人間が車で来るので、最初は4人1台で出発し、帰りは3人と2人に分かれて2台で帰るというのが最も合理的なはずだが、少人数の5人で合理的もクソもあるかいというのが、まあ本音といえば本音だ。
 但馬方面へは、第二神明から加古川バイパス、姫路バイパス、播但道といういつものルートを辿っていく。第二神明から加古川、姫路バイパス辺りはたいして渋滞もなく淡々と進み、北へと延びている播但道に入ると、より車が少なくなる。夏休みの盆明けの土日ということもあって、平日よりは多い感じがするが、もとの交通量自体が少ないので多少増えても快適だ。
 播但道は中国道と繋がる福崎までは片側2車線で、そこから北は片側1車線の対面通行となる。つまり、追い越しなどができなく為、最も遅い車に合わせられることになり、冬にスキーなどで通るときにはここから急に流れの速度が落ちるが、今回はそうでもないようだ。そうこうしている内、登坂車線で友人の車が加速した。播但道には登坂車線が何ヶ所かあるが、ここで遅い車を抜いておけばしばらくすいすいと走れる。自分も適当に車間距離を開けて加速した友人の車に付いていくと、登坂車線の最後の最後になって友人の車が最後っ屁のようにセダンを抜いていった。あれ、取り残されてるやんと思いながら、セダンにへばり付いて次の登坂車線で抜き、頑張って友人の車を追うと、今度は途中のI.C.で入ってきたのか、もう1台の車が間に入っていた。友人の車の前にもう1台いたので、微妙な計4台のランデブー走行がしばらく続いたが、次のI.C.で先頭の車が下りると、友人の車が加速して後続の2台を引き離しにかかった。どうやら置いてきぼり大作戦を発動したらしい。こちらも加速して応戦したいところだが、前の商用軽トラが加速する様子はなく、登坂車線が無い限り抜くポイントもないのでどうしようもない。普通の高速道路で対面通行の場合、I.C.前後が2車線になっていることが多いが、県の道路公社が運営する播但道は、I.C.の前後で2車線になっておらず、前の車が播但道を下りるか、次の登坂車線まで待つしかなかった。
 抜けるタイミングを探しつつ軽トラにくっついてかなり長く走ったように感じられたが、気持ち的に待ちながらなので実際は5kmぐらいだったのかもしれない。ようやく登坂車線の表示が現れ、待ち切れないように2車線になったと同時に登坂車線側から軽トラをかわし、友人の車を追ったが、かなり離されていたらしく、しばらく走っても姿が見えなかった。これは完全に離されたなと思いつつペースを上げて走っていると、播但道の終盤に近い朝来S.A.付近で、ようやく友人の車が見えてきた。福崎以北で対面通行となる播但道も、この朝来S.A.付近だけは2車線になっており、しかも直後の朝来I.C.で下りる予定なので、抜くチャンスはここしかない。もう追いついて合流できたので、旅程に対しては、バラバラになってしまって後で待ち合わせして再合流するというような影響もなく、わざわざ抜く必要はないのだが、なんとなく離されたことだけが記憶に残るのもシャクだったので、ワンチャンスを生かせとばかりそのまま抜き去り、慌てて加速した友人の車を横目にブッチして直後の朝来I.C.で下りた。やっぱり、マクれる時にはマクっておくってのが勝負の鉄則。ただし、抜く必要性は全くなかったのだが。
 播但道を下り、国道312号線沿いの道の駅で休憩を入れ、弁当を買って竹田城へと向かう。今日の昼食は竹田城の絶景を眺めながら摂る予定だ。それと、個人的には何度か来てるのに写真を撮っていないので、隙を見てチョコチョコと写真を撮るつもり。
 竹田城へは、最初はJRの竹田駅付近から登る道を辿ったが、途中で土砂崩れで通行止めになっていた為、やや北の安井川沿いを入って裏側から回る道に入り、登って行く。しばらく坂を登ると山城の郷という道の駅のような施設があった。前回来た時に何か工事してるなと思っていたが、どうやらこれがその正体らしい。オープンして間もないようで、周辺はまだ工事の途中だったが、この先の道も工事が入っているので、寄ったついでにバイクを置かせてもらい、友人の車に乗り換えて城へと登った。
 竹田城に来るのは何年振りだろうか。最初に来た時の夏の夕暮れの雰囲気は、言葉に表せないほど古城に浸れる空気があって、その夕暮れのひと時から城巡りが始まったとも言えるぐらい思い出の城だ。その夕暮れはもちろん、しばらく後にキャンプでみんなと来た時も風が吹いて爽やかな感じで、来た時によって印象がかなり変わる。今日はあいにくの曇天で、他に散策する人もおらず、なんとなく物悲しい古城の雰囲気が漂っていて、みんなで弁当を、という雰囲気とはちょっと離れているが、これはこれで城好きとしては、うんうんと納得して頷ける感じで良い。
 昼食後、散策もそこそこにして雨が降らないうちに城を撤収し、山城の郷で再びバイクに乗り換えて国道312号線を南下、途中のホームセンターでBBQに必要な炭などを買い、再度朝来I.C.を目指す。今夜泊まる宿は古代村というキャンプ場で、朝来I.C.の直前で右折し、国道312号線から山ひとつ西側の道になる県道70号線をしばらく走る。この道は、播但道の朝来S.A.を過ぎた後に続くトンネルとトンネルの間に少しの時間だけ見える道で、小さな川沿いに延びるいい感じの道だと播但道を通る度に思っていたが、実際に走ってみるとこれがかなりいい感じ。しばらくは民家などもあって道が狭くなるところもあるが、古代村のキャンプ場までは多少のアップダウンがあり、コーナーもタイトなものはないがそれでいて適度なRを持っている。真剣に攻めるなら物足りないが、ツーリングの途中で軽くワインディングを味わうには丁度いい。
 古代村に到着したのは、割と早い時間だったが、すでに雨が降り始めていた。本降りではなく、小雨程度の降り方だったが、おいおい降水確率は10%か20%やったはずやろと、心の中で舌打ちしながら、当たり前のように雨からカッパを連想してみると、カッパをタンクバッグに入れた記憶がない。少しの雨ならカッパでどうにでもなると意気込んで出発したはずやし、そんなはずはないと思いつつ、キャンプ場に到着してからタンクバッグを開けると、やっぱりカッパが入ってない。なにやっとんねんと心の中で激しく自分にツッコミつつ脱力感に見舞われながら、まあ無事に到着したからええとしょうかと、半ば強引に自分を納得させてみた。こうでもしないと、情けなさな過ぎてやってられん。
 とりあえず、今日のツーリングはこれで終わり。走り足りない感じはあるが、キャンプに来たからにはキャンプらしいく過ごしたい気持ちが大きいし、何よりカッパなしではどうしょうもない。
 その後、雨はやまず、ほとんど降りっぱなしで外で遊ぶこともできなかったので、夕食準備までに風呂に入ってしまおうと、4人で与布土温泉に出かけたが、朝来辺りは雨が降った気配もなく、キャンプ場周辺だけに降っていたらしい。なんともついてない。ひとっ風呂浴びてからBBQの準備を始めると、丁度食べ始めの頃に最後のひとりが合流してきた。これで、ついにキャンプ史上初の、5人で3台という贅沢フォーメーションが完成したのだった。
走行距離 130.72km

8/22
 朝起きると外が比較的明るい。どうやら薄曇りで、今日は雨の気配はあまりないようだ。カッパを忘れても、どうやら天はまだ見放してはいないらしい。
 10時頃に出ようと荷物をまとめたが、いつものように少し遅れ、11時頃になってようやく古代村を後にした。特に前もって行き先は考えてなかったが、帰り道なので生野銀山に寄ってから帰ることに。
 朝来の国道312号線に出るまで快適な道なのは昨日通って判っていたので、ここぞとばかりに軽いワインディングを楽しむ。路面は、路肩付近がちょっとwetになっていて朝方に雨が降ったようだったが、夏なので乾きが早く、車道付近の路面はほぼ乾いており、コーナーも快適。さすがに国道に入ってからは快適とは言えない流れになったが、それでもこの時間に南下する車はそれほど多くなく、夕方にキャンプ帰りの車で渋滞するであろうことを考えれば十分な流れだ。
 古代村から朝来付近で国道に出るまでと、国道に出てから生野銀山まではほぼ同じ時間で走ったが、地図で見ると国道に出てから銀山までのほうがかなり近い。今まで感覚的に捉えていた頭の中の距離感では、生野と朝来は結構離れていて、朝来からキャンプ場までとほぼ同じになる和田山や竹田のほうが朝来に近いと思っていた。おそらく、生野が北と南、つまり播磨と但馬の分岐点なので、朝来は但馬圏、生野は中間点というエリアの区分けが頭の中でできあがっていたからかも。意外なところで目から鱗の落ちる思いだった。
 小さい生野の市街地へと入り、少し東へ走るとすぐに銀山へと着く。ここには平地と山に2つの城跡があるはずだが、ひとりではないのでスルーし、素直に銀山の史跡へと向かうと、日曜の割に思ったよりもすいていた。友人の車に並ぶようにバイクを止め、坑道のほうへ向かうと、坑道入口の横に登山道のような道があり、とりあえずこの道を登っていくことにした。これは坑道が掘られる前の露天掘りの跡らしく、所々鉱脈に沿って掘り崩されたところがあり、なかなか興味深い。生野銀山へは小学生以来だが、そのときは恐らくこっちには来ていないはずで、他の鉱山跡でも露天掘りの史跡は見たことがなく、人生初の目撃だ。坑道が掘られる前は細々と露天の手彫りで云々というのは、ほとんどの鉱山の歴史に書かれているが、その跡を直に見てみると、人力でこれだけ山を崩せるほど昔から金属というのには需要があったんやなというのを感じる一方で、文明生活に付きまとう業のようなものも感じた。
 露天掘りの遊歩道を下り、いよいよ坑道へと入ったが、入口にあった温度計は13℃を指している。昔の記憶では18℃ぐらいと思っていたが、予想以上に冷えるらしい。しかも、遊歩道を歩いて山を登り下りしたので汗をかいており、坑道内に入ったときは本気で寒かった。
 小学校の頃の記憶で残っているのは、江戸時代から明治時代にかけての採掘風景を人形で再現してあることぐらいだったが、坑道内には近代の採掘機械なども展示してあり、大人でもなかなか興味を持って見れる。当時は小学生だったから、ビジュアル的に強く焼き付いたものしか記憶に残らんかったんやろう。これ以外に興味を引いたのは、所々で見られる鉱脈で、周囲と色の違う鉱脈が帯状に見えているのは見事としか言いようがなく、また、鉱脈に沿って掘っていったと思われる枝分かれした坑道が、薄く広く斜め下方向に延びていたのも、当時の山師達がひたすらに鉱脈を追っていった跡だとすぐ判るほど、納得できる風景だった。ただ、全会一致でこれはいらんやろうと思われたのが、割と入口や出口に近い坑道にあったグラデーションのイルミネーションで、綺麗っちゃあ綺麗なんやけど、雰囲気的に相当微妙ではあった。
 坑道から出た後、続いて近くの資料館などを見ていたが、ちょうど見終わって出てきた時、アナウンスでバイクが云々というのが聞こえた。バイクはほとんどなかったし、もしかすると自分のことかと駐車場へ行ってみると、なんと係員の人がバイクに跨って移動させようとしていた。マジで?と思いながら急いで駆けつけると、駐車場が一杯でここにバスを止めなあかんからバイクは建物の近くに移動してくれとのこと。ついでに、押したら動いたから移動できると思ったけどハンドルが動かんくなるんやな、知らんかったわと言われたが、いやいや、だからって勝手に跨らんとってくれ。しかも後日のことになるが、タンクに大きな傷がついているのを発見して落ち込んだ。さすがにこれは傷付けた時に気付くやろっていうほどの深い傷で、思い当たる節が無かったから、多分跨ってた係員の人がつけていたウエストポーチがこすれたんやろう。もの凄い低姿勢でいい人やったから怒る気にはならんかったけど、ほんま頼むわ。
 銀山横のうどん屋で昼食を済ませ、いよいよ帰路に就く。生野市街から再び国道312号線に戻り、神崎北から播但道を南下する。そして、豊富のS.A.で第二神明経由で帰る友人らと別れ、単騎山陽道から三木へと向かう。帰りは播但道も山陽道もなかなか風が強く、体感速度が速く感じるが、山陽道は流れも140km/hと速い。高速の区間は短く、15分もかからずに三木小野のI.C.で降りて今度は三木城へと向かう。
 ここは冬にも来たのだが、今回は細かい所まできちんと写真に収めるのが目的だ。そこで、出城のあった八幡山にも何か遺構はないかと、大宮八幡宮から八幡山方向へ登り、市役所を経由して城まで歩いてみることにした。大宮八幡宮から遊歩道があることは、かつて訪れた時に分かっていたので、恐らくそこから市役所へ行けるだろうと、秋の入口に差し掛かったとはいえ残暑の厳しい中を汗をかきながら登ってみたが、素直に市役所へ遊歩道が伸びていなかった。遊歩道はさすがにかつての釜山や八幡山がこうであったと思わせるような自然を残していい感じだったが、城があった当時のものとはっきり判る遺構も見当たらなかったので、一旦大宮八幡宮まで戻り、バイクで三木城に直接乗り付け、そこから城地であった公園や住宅地を散策する。上ノ丸公園になっている城の主郭部分には、新たに三木合戦の悲劇の城主である別所長治の銅像が建てられ、真新しい石の色が印象的だったが、その他は冬と変わらず、相変わらず寂びた感じがなんとも言えず古城の趣を醸し出していた。そして、もう少し写真の腕があればもっと雰囲気を切り取れるのにと思いつつ、一帯を写真に収め、今回の1泊2日の短いツーリング兼キャンプを終えた。
走行距離 122.72km
合計 2日間 253.44km

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No.20 No.22