3/27
 秋に行った高知や大山のメンバーで春のツーリングを企画したが、後輩は結婚したてなので脱落し、今回は3人となった。とりあえず春といってもまだまだ寒いので、少しでも南のほうへ行こうと、和歌山を目指すことにした。都合よく同期の実家は和歌山なので、そこで1泊挟んで宿代を浮かしていこうということになった。
 初日の今日の目標は、同期の家がある和歌山の湯浅まで走ることだ。昼をだいぶ過ぎた時間に会社の寮がある摂津に集合し、近畿道から阪和道へ南下する。天気は晴れているが、風はなかなか強い。
 午後5時前、同期の実家に到着。荷物を運び込んで、少し離れたシャッターつきのガレージにバイクを保管し、そのまま晩御飯をご馳走になった。海沿いの町だけあって食卓には魚介類が並び、踊り食いまでさせてもらった。同期はビールを、自分は日本酒を頂きながら、先輩に酒を勧めてみたが、断固として飲まないようだ。会社でもプライベートでも、みんなに飲まされ続けて、だいぶ意思が強くなったみたいだ。
 食事を終えて一服していると、近くに大浴場があるという話を聞いた。せっかくだからそこに行ってみようということになり、同期の運転する車で向かった。国民宿舎湯浅城の中にある温泉で、湯浅温泉というらしいが、閉まる時間が午後8時と早い為か、お客さんは少ない。施設的にはサウナがあるだけで、これといったものはないが、やっぱり湯船が広いというだけでのんびりできる。明日に向けて疲れを癒しておかねば。
走行距離 224.0km

3/28
 朝、先輩と同期の吸うタバコの煙たさに目を覚まし、カーテンを開けて外を見てみると、雨の降った跡があった。ケータイの天気予報でも降水確率が高いし、どこまでもつかが勝負どころ。
 朝飯を軽く済ませ、同期の実家を出発。時間との戦いになりそうなので、御坊まで高速で行くことにした。
 紀伊半島は、天気が良ければ素晴らしい景色と、山と海を縫うワインディングが楽しめるが、南部辺りでは嵐の前兆か、とても風が強く白波が立っていて、海沿いの木々も枝をしならせていた。休憩もそこそこに先を急いでいたが、田辺の国道42号線のバイパスに入ったところで、ついに雨が降ってきた。宿を予約している熊野まではかなり距離があって、一同雨が上がることを祈っていたが、この日はやむことがなかった。
 先輩は実家に帰るときはバイクで帰っているが、結構な割合で雨が降るらしい。自分と同期はやや晴れ男ぐらいのはずだが、2人のパワーでは強力な雨男には全然歯が立たないようだ。
 雨の中、コーナーでの突風に気を使い、マンホールを注意深く避けながら、本州最南端の潮岬に着いたのは午後3時を過ぎた頃だった。潮岬灯台に寄ったが、灯台の上は灯台を倒さんばかりの風が吹く。観光気分のかけらもない。すぐ近くにある本州最南端の碑で、雨にワヤクチャにされながら記念撮影をこなし、今度は紀伊半島東岸を北上する。
 途中、靴の中にせせらぎを感じるほどに浸水していたので、道の駅紀宝町ウミガメ公園で休憩しようとしたが、午後5時をちょっと過ぎていたので閉まっていた。僅かに雨宿りできるエントランスで紅茶を飲んで泣く泣く出発した。が、ここまでくればあとほんの少し。温泉が待っている。
 宿に到着すると、とりあえずカッパを脱いで温泉へと向かった。この熊野温泉は、かんぽの宿熊野の中にある温泉で、外湯としても利用できる。雨に濡れた体を温めながら窓の外に目をやると、暗いながらなんとなく海が見える。昼だといい眺めなんだろう。
走行距離 250.56km

3/29
 朝、晴れた空に安堵しながら駐車場に向かうと、そこには茶色の土埃が水玉状に付着した迷彩模様のバイクが3台あった。どうやら昨日の雨に風で砂が大量に付いたらしい。そういえば昨日は雨で気付かなかったが、駐車場のすぐ裏が山になっている。
 軽く汚れを拭き取った後、再び国道を北上していく。今日の目的は松坂牛と伊勢神宮だ。
 途中、松坂に近くなったところのコンビニで休憩し、るるぶを見てどの店で食うか会議が始まる。るるぶを見る限り、美味しそうなところはどこもお高い。結局途中にあったレストランで松坂牛を食したが、親父の知り合いの店のほうが遥かに美味しかった。あの店の味を知っていると、ちょっとやそっとの高級店でも美味しく感じない。いいことなのか、悪いことなのか…。
 バイクは伊勢路に入り、今度は伊勢神宮の内宮を目指す。ここは近くまで高速が通っているので迷う心配はない。
 伊勢神宮は天皇家の宗廟で、その為か中では写真撮影が禁止されている。ましておみくじもない。素っ気ないといえば素っ気ないが、日本の神道の基本は素っ気なくシンプルなものなので、その大元ともいえる伊勢神宮は素っ気なくて当たり前なのだろう。
 伊勢神宮のお土産を買いに行くと、赤福の本店があった。赤福といえば伊勢土産として有名で、最近では結構大きな土産物屋や新大阪の駅でも買うことができるが、ここでは赤福ぜんざいというのがあって、自分は初めて見たのでここでしか売っていないんだろう。甘党の気持ちをくすぐりやがる。結局、先輩と自分は店先にある赤い腰掛に座ってぜんざいを食べたが、甘いものが苦手な同期はなぜか、向かいの店でサザエの壷焼きを食べていた。
 伊勢神宮を後にして伊勢道から帰路につく。I.C.の入口で浮き砂に乗ってこけそうになり、一瞬新車やのに!と慌てたが、途中、先輩が強風の中100km/h以上でぐいぐい進むのにはもっとびっくりした。横風をこれだけ受けると、とても挙動が不安定になるのに、先輩はどうやらお構いなしのよう。ついに同期と自分はついていけずに置いていかれてしまった。
 そんなこんなで伊勢道を降り、国道1号線から名神高速に向かう。国道1号線は昔の東海道にあたり、県境にある鈴鹿峠は難所として、また古代3関のひとつとして有名だが、現在は2車線の一方通行になっていて、快調に峠を走れる。だが峠に入る手前で、暗雲が垂れ込めているのを発見。すぐさま昨日大変お世話になったカッパを着込む。それにしても、今日の天気予報に雨の文字はなかったのに、雨を引き込んで来るなんて、先輩のパワーには敵わない。
 鈴鹿峠を越え、滋賀県に入ると、土山に道の駅がある。ここで少し濡れた体を乾かして暖を取っていると、従業員の人がお茶を入れてくださった。土産を買う気も無さそうな客なのに、なんて親切なんだろう。この温かいお茶はとても助かった。頑張って帰る気になる。
 そのあと、草津から名神高速に乗り、渋滞に巻き込まれながら、パラパラと雨に降られながらも無事家に帰ることができた。今度から先輩と行く時には、もっと強力な晴れ男を連れてこなければなるまいと心に誓った。
走行距離 266.88km
合計 3日間 741.44km

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